Denmark, Copenhagen
北欧デンマーク幼稚園研修プログラム
佐倉雅子さん
(幼稚園教諭・保育士)
2023年4月参加
幼稚園研修に参加して
研修参加園(シュタイナー園、森の幼稚園、一般幼稚園)
幼稚園でのコミュニケーション
言語が不十分でもコミュニケーションをとることはできる、コミュニケーションをとりたいという姿勢を見せることで互いに歩み寄れる、私がデンマークで関わった方々は、子、大人、国籍にかかわらずそうでした。
ただ、より深く相手を知る、意見を伝え合うためには、道具として言語を持っていることに越したことはない、という経験を多くしました。
特に印象的だったのは、デンマーク語しか話せない子供たちのコミュニケーションにおいて、子ども達はジェスチャー、効果音、指さし、実物を持ってくる、英語を話せる子を連れてくる等、ありとあらゆる手段で伝えようとしてくれました。
また”伝わる”ということを絶対としておらず、伝わらないことが面白くなってしまって互いに大笑いすることさえありました。思えば、子どもというものは日頃からどうすれば伝わるか工夫しているのだな、と気づかされました(大人ほどの言葉は持ってないし、相手が子供だった場合には言葉の理解力には幅があるため)。言葉が伝わらないことで子供の世界を少し体験できたように思います。
子どもの世界について
私は子どもの世界(子供が大人の目を意識していない瞬間)こそ、子どもが”子どもらしく”居られる場所であると考えています。そしてその中で子どもは様々な感情に気がつき、感じ、考え、学んでいくと思います。日本の教育・保育現場では、安全・安心のために誰かしらの大人が子どもを把握していることを必須としています(何をしているのか、どこにいるのかわからない子が一人でもいてはいけない)。しかし、それは同時に、子どもの世界の欠如にもつながりかねません。
一方、デンマークでは子どもだけの空間(のように子供が感じられる場所や大人との距離)が存在しました。これは子ども自身で考える力や生きる力を伸ばす環境、子どもがのびのびと過ごせる環境のように思いました。ただ、この環境の違いは日本で保育者/教育者をしている私にとってはヒヤッとしたり、不安になってしまう状況でもあり、対応するのが大変だった点でもありました。
ホームステイ
最高でした。すべての時間が思い出です。〈Perfect♪〉
朗らかで思慮深く、温かな笑顔溢れるファミリーでした。家族間の絆は強い一方で各々の時間の楽しみ方もわかっている印象です。
過去にもホームステイを受け入れた経験があるそうで、日本人はお魚が好きだと聞いたから…と初日のお夕飯をお魚料理にしてくれたり、映画を日本語で鑑賞する機会を作ってくれたりなどお心遣いに感動しました。ガーデニングや犬の散歩、お料理、日曜大工やセカンドハウス訪問、ホームパーティー等、家族の日常やイベントへ誘ってくれたり、友人達を紹介してくれることもとても嬉しかったです。個人的には幼少期を思い出して懐かしく思う時が多々ありました。
出かける人には、”行ってらっしゃい”の意味で「楽しんで」」「よい一日を」、帰ってきた人には「どうだった?」「楽しかった?」、お料理のお手伝いや経験したことへは、”いいね” の意味で「パーフェクト!」(特に、パパと二女ちゃん)と前向きな言葉が多く飛び交っていました(他にも、「やってみよう」「きっと大丈夫!」「がんばれ」「楽しみだね」等々)。その姿勢、言葉には何度も励まされ、新しい自分に気が付くこともできました。
お着物や書道、折り紙など日本の文化を披露するととても喜んでくれました。日本に居る間は忘れてしまいがちな日本人としての誇りを思い出させてくれた瞬間でした。
ファミリーとの日々が今後も私の糧になると不思議な程、強く感じています。教えてもらったデンマーク語、子どもの名前の呼び方、いつまでも習得できない発音とそれに大笑いしたこと、デンマークの歌、伝統料理、ファミリーの歴史、私のカタコト英語を少しでも理解しよう、気持ちを受け止めようとしてくれる姿勢、全てが私の宝物です。
総括「知ることで始まる」
渡航前からプログラム全体を通して不安や心配が大きく膨らむことが幾度となくありましたが、些細なことでも一つ行動を起こすと鎖のように次へ次へ…と繋がっていきました。私にとって”知る”というのは行動の中でも手をつけやすく、身近なものなので、”知る”を原動力にしていました。
また、プログラム中の経験全てが”知る”に通じていましたので、使用してみました。デンマーク(教育・文化・子ども観等)を知るために、情報は事前に得ていましたが、その情報と現地での経験や意見を比べることで私自身に新たな気づきや考えがもたらされました。
プログラム研修内で一番感じたことに「子どもは子ども。世界共通」だということです。”当たり前”と返されることも多い考えですが、私は今回やっと真に理解したように思います。この感覚を知ったことで、また新たな考えが始まりそうです。Jeno Internationalの皆様のご支援、お力添え、真にありがとうございました。
※本ページの写真は全て参加者の方からご提供いただいたものです